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Chapter1

Chapter1

朝、なのだろうか。
そんな当たり前のことも、あまりにも音のないこの街に居ては分からない。
この街には、もう誰も住んでいない。いや、住めなくなったのか。
普通にある、鳥のさえずりや射し込む太陽も、ここにはない。
昼夜を問わず薄暗いこの部屋と空、ただそれだけ。

こうなってしまったのは、10年ほど前。
機械工業の発達したこの世界は、環境破壊が進んだ。
1年もすれば植物は死に、動物は伝染病によって次々と絶滅していった。
いつのまにかこの世界には人間と、ある種族しか残っていない。
そこで王宮は、ある計画を決定した。「機械空住計画」。
巨大な機械空中都市を作り、そこへ新たに人々を住まわせる計画だった。

そして2年後。その計画は成功し、人類は地上から空へと移っていった。
すでに大部分の人類は空中都市へ移っていっている。地上に残る人間は地球を忘れられない未練がましい人間だけとなった。
僕や、友達もその一人だ。


回想に浸っていると、長い寝巻きの裾をゆるく引かれる。
まだ少し夢の中にいた僕は、目をこすりながら、ワンテンポ遅れて振り返る。

「あ・・・、モサモサ」

「もさ!」

このオタマジャクシに手足が生えた、そうカエルのなりかけのような生物。
この世界に残っている、もう一つの種族、アケローン。カエルのくせにかわいいフォルムだ。
なぜこの種族と人間だけが生き残っているのかは、誰にも分かっていない。
そして、こいつはモサモサ。いつのまにか僕の隣にいたアケローン。
今ではいつでも僕の側にいてくれる大事な友達。

「もさもさ?」

「うん、おはよう。」

僕はこのアケローンが話す言葉がなんとなくだけど、分かる。きっと今のは、心配してくれていたんだと思う。
ふ、と枕元のデジタル時計を見ると、7:50.

「あ、・・・いけない」

今日は約束があったんだった。

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