BL小説
ぼくらの道(BL小説)
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たくさんの国々、たくさんの人々、そのたくさんの中に最も不仲で近くに位置する敵対する国があった。

両国は我が国こそはと主張し、お互いに相手を否定し、対立していた。

国境も近すぎるという事もあり、互いに国境の警備は厳戒なものだった。
その為に国民は国外へ出る事も国内に入る事でさえ厳しい検問をされていた。
検問に引っかかると中に入れてもらえず、国境の境の貧しい土地で暮らす破目になる国民が両国からたくさん溢れていた。
中には己からそこへ移り住む者もいた。
その結果、両国内はぐらついていた。
しかし、それを知った、国王の息子が動いていた。

「ルーク様、お待ち下さい!」
男は必死に若い少年を追いかけていた。

「ついてくるなっ!事は重大なんだっこうしてる間も民は苦しんでいる」

馬に乗り颯爽と国境に向かって走っていた。
若い少年、スベリア王国の王子で次男のルーク・オリエント・D・スベリア様だった。
美しい青い深い瞳は澄んでいて何一つ迷いが無かった。
3人の兄弟の中でも1番しっかりしていた。

家臣の男はルークの行動に困っている様だった。

「国王はそれを望んではおりません。すぐにお戻り下さいませ」

「民がいなければ、この国は滅びてしまう、お父上は血迷うたか...」

ルークは悲しげな表情をしたが引き返そうとはしなかった。

「国王様に対して無礼ですよっいくら王子様でも許されませんよ」

「ああ、だったら軍を引き連れてきて私を止めなさい。私はそのくらいの覚悟で向かっているのです」

(国境の様子をこの目で確かめておかなければならない...
その上で国王に報告し、目を覚ましていただかなければならない)

国境の門がみえてきた。

「ルーク様、なりません!国境を出られては戻れなくなります」

ルークは丁度、開かれた門を検問を破ってすり抜けて行った。

家臣の男は吹っ飛び、倒れ追ってくる事はなかった。

「ここが...国境」
門の外を出たルークはその枯れ果てた土地をみて息を呑んだ。

(思っていたより酷い...)
砂漠の様に枯れ果てた木々にあちらこちらに骸骨やら骨が落ちている。
門を離れてからはまったく兵士らしき人物も人すら見当たらない。
(何が厳戒な警備だ...!!民への脅しか...でも、こんな土地では国を出ても骨になるだけなのかもしれない。
とにかく、もっと奥の方まで行ってみないと)

歩いても歩いても何も無い。
やがて馬がバテてしまい、休む事になった。
日も暮れて、持っていた水筒の残り僅かな水を馬に飲ませた。
また歩き出すと、やっと林がみえてきた。
(良かった...木がある!水...水を探さなくては)

ルークは林に入っていった。
怖いくらい物騒とした林を真っ直ぐ進む。

日も落ち何も見えなくなってきて、ルークは立ち止まった。

(水はないけど、ここで野宿するしかないか...朝になったら水を探そう)
林には草が生えており、馬の餌はそれでなんとか大丈夫そうだった。
うとうとしていると、まぶたから光が差し込んできた。
ルークは目を開け立ち上がった。
すると、前方に明かりが見えた。

ルークはすぐにその明かりの方向に歩き出した。

小屋のような建物の前に着いた。
馬は目立つので林にとりあえずはなした。
ルークは様子を伺い、ドアを叩いた。
すると、ルークは後ろから押さえられ捕まってしまった。

「なんだい?騒がしい...熊でもでたのかい?」

気の強そうな女が小屋から出てくると、大柄の男達はルークをその女に差し出した。

「怪しい奴、捕まえた」
そういうと、女は金を男達に渡し、ルークを小屋の中に入れた。

女は縛られたままのルークを椅子に座らせ、食べ物を持ってきた。

「へ〜珍しいねぇ、あんたスベリアの貴族でしょ?」

ルークは黙ったままジッとしていた。

「あたしゃーねぇ、ジーナって言うんだよ。ロスタリカ王国出身なんだけどねぇ、まー色々あってねぇ...今じゃここを仕切ってんのさ」

ルークはただジッと話をきいているだけだった。

「そうねぇ...まぁいいか、合格」
そう言うとルークの縄を解き、ご飯を勧めた。

ルークはわけがわからず、とにかくご飯を食べた。
お腹が空いておかしくなりそうだったからだ。

「ごちそう様でした」
いつも通り手を合わせ、ご馳走に感謝の意を唱えた。

「へ〜今時感心ねぇ。で?どうするのこれから?」

ジーナはじーッとルークをみた。

「ご飯、ご馳走さまでした。私はまだやる事があります。
ですが、あなたには恩がありますので、明日、スベリアに一度戻りお礼をさせて下さい」

「そぅ、わかったわ。うん。じゃ、今日はゆっくり泊まって行くといいわ」

「あのっ」

ルークは親切にしてくれたジーナの行動が不思議でならなかった。なぜ、そんなに親切にしてくれるのか...

「なぁに?」

「どうしてそんなに親切にしてくれるのですか?」

「あら、ウフフwそうねぇ〜」

少し間を置いたが話し出した。

「昔、スベリアの貴族と恋に落ちてね...ロスタリカにそれがばれて彼、殺されてしまったの...ふふ、だからその償いからかもしれないわ...」

ジーナは悲しげに微笑み後ろを向いた。

「すみません...辛い事を思い出させてしまいました」

ジーナは後ろを向いたまま言った。
「なんてね、ただのあたしの戯言よっ忘れてっ」

そう言って振り向きウインクをした。

「もう、寝なさい。明日は忙しくなりそうよ」

ジーナにあいさつをするとルークは用意された部屋へ行った。

ベッドに寝転がりながらルークは考えていた。

(ジーナさん...やはり両国に和解させ、ジーナさんの様な人を増やさないようにしないとだめなんだ...)


ルークはジーナさんの悲しげな表情を思い出しながら眠りについた。



続く。
ちょっと長くなりましたが読んで下さりありがとうございました。
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