BL小説
地球の詩(BL小説)R18
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2:翔

たった数秒しか違わないのにこんなにも俺は翔が羨ましくてたまらない気がする...
同じ顔だけど翔の方が幼い顔をしている。
可愛がられるのは当然だ。
でも俺は翔のようにニコニコ笑って何事も済ます事が出来ない。
そりゃぁ女子には優しいが野郎にまで愛想なんて振りまけるわけがない...

いつの頃からか翔は眼鏡をかけ始めた...それから俺達は周りからちゃんと区別されるようになった。

「翔、どうして眼鏡なんてかけるんだよ?コンタクトでいいじゃないか!」

「ごめん。空、僕はコンタクトが苦手なんだ」

それから俺は翔と距離を置くようになっていった。
翔がどんどん遠くへ離れていってしまったかのように。

俺の心は翔から離れた気でいた。
でも翔は俺との距離をことごとく壊して近づいてきた。
いくら俺が距離を置いても翔は俺を離さなかった。

俺も別に翔の事が嫌いでもないし距離を置く理由が強くは見当たらなかった。
ただ俺達は双子であって双子じゃないようなそんな兄弟に周囲からみられていた。

俺がフワフワしてるからなのかもしれない。
『空』この名前だけに空をぼっーっと眺めているのが俺は好きだ。
現実逃避...
そうなのかな...

「よぉ、空!お前ぼーっとしてねぇでたまには勉強したらどうだ?」

視界を遮り俺の顔を覗き込んできた。
同じクラスの高塔(たかとう)だ。

「あ、高塔か...ああ、そうだな」

俺はそう言うと高塔の手をかりて立ち上がった。
急にぐらつくと高塔のがっしりした体が俺を包み込んだ。

「おわっ!ほらしっかりしろよっ!!お前ももう少し体鍛えたらどうだ?」

俺はなぜかドキドキで話がよく耳に入ってこなかった。

「あ、わりぃ!」

高塔は溜め息混じりに話を続けた。

「空はやりたい事ねぇの?」

やりたい事...
やりたい事...
...

「わかんねぇや」

「じゃあさ、俺の専属トレーナーやってみない?」

「はぁ?なんだそれ?」

さっきまでのドキドキも吹っ飛ばすような誘いに俺は戸惑った。

「練習が終わったらただマッサージしてくれるだけでいいんだ。ダメかな?」

「うーーーん。」

マッサージ...
こいつの?
まぁどうせ暇だからいいか...

「わかった。どうせ暇だし全国大会終わるまで付き合ってやるよ」

高塔は嬉しそうにはしゃいだ。

「おうっ頼んだぞトレーナー!」

「了解」

とはいったもののマッサージなんてしたこと無いが...

高塔は自分のバックから本を取り出して俺に渡した。

「コレっこの印つけてるページ頼むわ」

「ああ、うん。ザッと目を通しておくよ!」

明日からまた違った日々が始まる予感がした。

ー俺が高塔をマッサージ...か。まぁ頑張ろう!



つづく。
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